・弓道教歌集
いろんな流派が修行の心得や、教えを和歌にしたものです。
インターネット上で公開されているものを拾い集めました。弓道教本に紹介されている歌もあります。

修行心得
我が芸を われと慢ずることなかれ 人のゆるすぞ 上手なりけり
弓はただ 習いのままを教えなば 医書ばかりよむ 薬師なりけり
稽古には 百矢射んより四つ五つ 習ひを専と 射るぞまされる
射よや射よ 射るよりまさる師はあらじ 習わぬ知らぬことを知るなり
百(もも)の矢を 射ると思へど常々は 只一筋の稽古なりけり
へだてなく 初心の射手の言葉をも あしきは捨てよ能は用ひよ
ねんごろに 問はずば誰も教ゆべき 下手にもならへ弓の本末
是はわが 得たる所と思ひなば それを稽古の便りとぞせよ

足踏み
足踏みは 其の身によりて替わるとも もも腰つよくひざもうかざれ
膝詰めは すなおに筋を引伸ばし 股根を内にひねり合せよ

胴造り
胴はただ 常に立ちたる姿にて 退かず掛からず反らず屈まず
胴の伏す 射手に数多の難ぞある 胸尻出でて顔は反りけり

手の内
爪揃へ 手の中筋一文字に 当てて取り込む手の内ぞよき
鵜の首や 紅葉重ねの手の内は 初心の人に教え射させよ

物見
顔持ちは やよとて人の呼ぶ時に 射ると答えて見向く姿ぞ

打ち起こし
風もなく 空に煙の立ちのぼる 心の如くうちあげよかし

引き分け
弦道と いうこと知らぬ射手はただ 櫓櫂もとらぬ船に乗るなり
引取りは げに大鳥の羽をのして 雲井を下る心得ぞよき
いか程も 剛きを好め押す力 引くに心の有ると思えよ

会の状態(会、持満、矢束など)
持ち満ちて 末に放れはあるぞかし そのよしあしを弦にたづねよ
矢所まで 引きて抱えてたるみなく 満を待つはたもちなりけり
持満とは 矢束一杯引き詰めて 放れ際まで息にさはらじ
引く矢束 引かぬ矢束にただ矢束 放つ離れにはなさるるかな
剛は父 繋は母なり矢は子なり 片思いして矢は育つまじ
陰陽の 和合を知らぬ射手はただ 片思ひする恋にぞありける
引き込みて 的と鏃を見合すは 二目つかいやせぬのぞかし
大小の 的にこころをとらるなよ ただ鵠を見所にして

離れ
よく引いて 引くな抱えよ持たずと 離れを弓に知らせぬぞよき
矢をかけて おし引くまでは覚ゆれど 放つ時には無念夢想に
放さるる 放す離れる三つの品 気より開きて離るるぞよき

残身
見所の なきこそ弓の上手なれ 是れ六根の揃ふゆえなり

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